納期が遅れた。英語で「申し訳ございません」と書きたい──ここで手が止まる。
謝りのメールを英語で書こうとして、1行目から動けなくなった経験はないでしょうか。
「I’m sorry」と打って、これでは軽すぎるのではないかと消し、また打ち直す。
日本語の「申し訳ございません」が持っている重さが、英語のどの語に乗るのか分からないからです。
- 「I’m sorry」は取引先に使っても失礼にならないのか
- 「apologize」と「sorry」と「regret」は、何がどう違うのか
- 自分に非がない遅れでも謝ってよいのか
この記事では、英英辞典(Cambridge・Oxford Learner’s・Longman)の語釈と、Microsoft・英国政府が公開している文章ガイドの記述だけを根拠に、この4語の線を引き直しました。
先に結論を書きます。
- 「申し訳ございません」に1対1で対応する英語はありません
- 英語の謝罪表現は「自分の非をどこまで認めるか」で語が分かれているからです
- 非を認めて気持ちを言うのがsorry、非を認めて公式に謝るのがapologize、非を認めずに事実への遺憾だけを示すのがregret、軽い定型がApologies
- さらに英語には「謝ってはいけない場面」が公式ガイドに明記されているので、そこは謝らずに事実を書きます
「申し訳ございません」の英語は1語ではない。非を認める度合いで4つに分かれる
最初に、この記事のいちばん大事なところから答えます。
和英辞典で「申し訳ございません」を引いても答えが決まらないのは、探し方のほうがずれているからです。
日本語の「申し訳ございません」は、自分の非があるときにも、無いときにも、同じ形で使えます。
英語はそこを分けます。
辞書が「申し訳ございません」にあたる語を5つ並べている
まず、英語側に候補がいくつあるかを数えます。
Cambridge Dictionary の sorry の項には、シソーラス(類語)の枠が付いています。
その枠の見出しは「to apologize for something(何かについて謝る)」で、そこに5つの言い方が並んでいます。
apologize / say sorry / sorry / make an apology / express regret
つまり辞書の側からして、この働きを1語では引き受けていません。
そして5つのうち express regret だけが「謝る」ではなく「遺憾を表明する」で、意味の方向が違います。
4語の線引きを1枚の表にする
自分がどの語を使うべきかは、次の表の左を決めれば右が自動で決まります。
| 非を認める度合い | 日本語で言い直すと | 英語 | 典型の形 |
|---|---|---|---|
| 認める(気持ち) | 「悪かった」「すみません」 | sorry | I’m sorry for the delay. |
| 認める(公式) | 「謝罪いたします」 | apologize | We apologize for the inconvenience. |
| 認めない(遺憾) | 「残念ながら」「恐れ入りますが」 | regret | We regret to inform you that… |
| 軽い定型 | 「失礼しました」 | Apologies | Apologies for the late reply. |
| 謝らない | (事実だけを書く) | ― | The page can’t be reached. |
この表の1行目と2行目は、どちらも自分の非を認めています。
違うのは「度合い」ではなく語のレジスター(かたさ)で、その根拠は後で辞書から出します。
3行目の regret は、非を認めていません。
つまり英語では、謝るのか・謝らないのかを、語を選んだ時点で表明していることになります。
「申し訳ございません」の英語①=sorry は、謝罪専用の語ではない
いちばん使われていて、いちばん誤解されている語から片づけます。
sorry を「すみません」の一語だと思っていると、必ずどこかで事故が起きます。
Cambridge は sorry を4つの語義に割っている
辞書の見出しの割り方そのものが答えになっています。
Cambridge Dictionary の sorry(形容詞)は、語義ごとに大文字のラベルが振られています。
そのラベルは4つあります。
EXPRESSING REGRET / EXPRESSING SYMPATHY / SAYING NO / BAD CONDITION
謝罪にあたるのは1つ目だけです。
2つ目の EXPRESSING SYMPATHY は、同情です。
語釈は「feeling sadness, sympathy, or disappointment(悲しみ・同情・落胆を感じている)」で、例文は「We were both sorry to hear you’ve been ill again.」です。
ここでの sorry は、自分が何かをしたという意味を1つも含んでいません。
3つ目の SAYING NO は、断りと反論です。
Cambridge はこの語義に B2 のレベル表示を付けて、「used to show politeness when refusing something or disagreeing(何かを断るとき、または意見が違うときに、丁寧さを示すために使う)」と書いています。
そこに置かれている例文が、この語義の性格をよく表しています。
I’m sorry, but I think you’ve made a mistake.
謝っている形をしていますが、中身は「あなたが間違っていると思います」です。
日本語の「恐れ入りますが」「失礼ですが」にあたるのは、謝罪の sorry ではなく、この3つ目の sorry です。
Longman は「聞き返す sorry」を別項目にしている
もう1つ、謝罪と紛れやすい sorry があります。
Longman(LDOCE)は sorry? を、疑問符まで含めて独立した見出しにしています。
語釈は「used to ask someone to repeat something that you have not heard properly」で、ちゃんと聞き取れなかったものを言い直してもらうときに使う、とあります。
同義語として pardon が並べられています。
会議で相手の発言が聞き取れなかったときの「Sorry?」は、謝罪ではありません。
sorry の前置詞は for と about で分かれる
語義が分かったら、形を固めます。
Longman は sorry の項に「GRAMMAR: Patterns with sorry」という文法枠を置いて、前置詞の使い分けを列挙しています。
そこで名指しされているのが、遅れ・不便・手間の3つです。
You are sorry for the delay, the inconvenience, or the trouble
ビジネスで謝る対象は、ほぼこの3つに収まります。
同じ枠には、やってはいけない形も ✗ 付きで書かれています。
✗ Don’t say: I’m sorry for I can’t come.
節(文)を続けるときは for を外して、I’m sorry that I can’t come. または I’m sorry I can’t come. にします。
もう1つ、Longman は sorry to do something の意味を「it makes you sad to do it」と説明しています。
つまり「I’ll be sorry to leave this place.」は謝罪ではなく、去るのが寂しいという意味です。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| sorry for +名詞 | その事柄について謝る | We are sorry for the delay. |
| sorry for -ing | 自分がした行為を謝る | I’m sorry for upsetting you. |
| sorry about +名詞 | 起きた事柄について謝る・悼む | I’m sorry about your father. |
| sorry (that) +節 | その内容を残念に思う・謝る | I’m sorry that I can’t come. |
| sorry to +動詞 | それをするのが心苦しい | I’m sorry to interrupt. |
| sorry to hear +節 | 同情(謝罪ではない) | I was sorry to hear about your accident. |
この表の下2行は、自分の非とは無関係です。
「申し訳ございません」の英語②=apologize が、公式に謝るときの語
取引先へのメールで使うのは、ほとんどの場合こちらです。
apologize が sorry より固い、という感覚には辞書の裏付けがあります。
Longman が「日常会話では apologize を使わない」と書いている
かたさの差は、語釈ではなくレジスター(使う場面)の注記に出ています。
Longman の apologize の項には「Register」という枠があります。
そこに書かれているのは、日常英語では apologize ではなく say sorry のほうを使う、という趣旨の記述です。
In everyday English, people often use the phrases say (you are) sorry or tell someone you are sorry, rather than apologize (to somebody)
この注記は、逆から読むと価値が上がります。
日常ではわざわざ使わない語なのだから、apologize を選んだ瞬間に「これは日常の言葉ではない」という合図が相手に届きます。
それが、日本語の「申し訳ございません」が持っている段差にいちばん近い働きです。
Oxford の例文が、そのまま社外メールの雛形になる
apologize の例文は、辞書の中でも異様に「業務寄り」です。
Oxford Learner’s Dictionaries の apologize の項には、次のような例文が並んでいます。
- I sincerely apologize for the enormous delay in delivery.(納品の大幅な遅延)
- We apologize to our customers for the inconvenience caused.(顧客への不便)
- I must apologize for cancelling our meeting at such short notice.(直前の会議キャンセル)
- I must apologize for not letting you know sooner.(連絡が遅れたこと)
- I’d like to apologize in advance for any spelling errors.(先回りの謝罪)
日本のビジネスメールで謝る場面が、ほぼ網羅されています。
さらに同じ Oxford の sorry の項には「Express Yourself:Apologizing」という会話の型の枠が付いています。
そこには、いちばん固い定型が2つ載っています。
We would like to offer our apologies for the inconvenience
Please accept our apologies for the delay.
社外への謝罪文で迷ったら、この2つのどちらかを1行目に置けば形は崩れません。
謝罪の強さは形容詞で上げる
「もっと深く謝りたい」は、語を変えるのではなく形容詞を足して表します。
Longman の apology の項には、コロケーション(よく一緒に使う語)の一覧が付いています。
そこに並んでいる形容詞を、辞書が付けている説明ごと表にしました。
| 形 | 辞書が付けている説明 | 使いどころ |
|---|---|---|
| my sincere apologies | very sorry のとき | 社外への通常の謝罪 |
| my profound apologies | very sorry のとき | 影響が大きいとき |
| a formal apology | ― | 正式な手続きとしての謝罪 |
| an official apology | ― | 会社としての謝罪 |
| a full apology | ― | 全面的に認めるとき |
| a written apology | ― | 文書で残すとき |
| an abject apology | formal。very sorry だと示す | 重大な非があるとき |
| profuse apologies | formal。何度も謝る | 繰り返し迷惑をかけたとき |
動詞側の副詞も同じ考え方です。
Oxford は apologize と結ぶ副詞として sincerely・profusely・humbly を挙げ、決まり文句として I do apologize と I must apologize を挙げています。
do を入れる「I do apologize」は、語を強めるためだけに入れる do で、日本語の「誠に」に近い働きをします。
「申し訳ございません」の英語③=regret は、非を認めずに遺憾だけを示す
ここが、日本語の感覚といちばんずれる語です。
regret は謝罪の語ではありません。
3つの辞書が揃って「formal」のラベルを付けている
語義の2番目に、3社が同じラベルを置いています。
Oxford Learner’s Dictionaries は regret の第2語義に (formal) を付けて、状況について申し訳なく思っている・残念に思っていることを丁寧に、あるいは形式的に言うのに使う、と説明しています。
Longman はさらに踏み込んで、使われる文書の種類まで指定しています。
used in official letters or statements when saying that you are sorry or sad about something
公式な手紙・声明で使う、と明記されています。
Cambridge も、この語義の例文の1つ1つに formal のラベルを振っています。
regret to inform/announce は「断る」ための型
辞書の例文を並べると、この語が何をする語なのかが一目で分かります。
3社の辞書から、regret to の形の例文を抜き出しました。
- We regret to inform you that your application has not been successful.(応募の不採用/Oxford)
- I regret to say that we cannot let you have the picture.(提供できないという通知/Oxford)
- I regret to inform you that your contract will not be renewed.(契約の非更新/Longman)
- British Airways regret to announce the cancellation of flight BA205 to Madrid.(欠航の告知/Cambridge)
- After careful consideration of your proposal, I regret to say that we are unable to accept it.(提案の不採用/Cambridge)
5つとも、悪い知らせを伝える文です。
そして5つとも、自分の非を1文字も認めていません。
つまり regret は「謝る」語ではなく、断りや悪い通知の前に置く緩衝材です。
日本語にすれば「申し訳ございませんが」ではなく「誠に残念ながら」に近くなります。
regret any inconvenience は「謝ってはいない」
もう1つ、定型として覚える価値のある形があります。
Oxford は regret の例文に「The airline regrets any inconvenience.」を置いています。
Longman は「We regret any inconvenience caused to our customers.」を置いています。
どちらも any が入っている点が肝心です。
any inconvenience は「もし不便があったなら、その不便」であって、不便が起きたと認める言い方ではありません。
さらに Oxford の inconvenience の項には、apologize と regret を1文で両方使った例文が載っています。
We apologize for the delay and regret any inconvenience it may have caused.
前半で「遅れ」という確定した事実を謝り、後半で「起きたかもしれない不便」に遺憾を示す──2語が役割分担しています。
この1文が、4語の線引きをいちばん短く示した実例です。
「申し訳ございません」の英語④=Apologies は軽い定型だが、会議では別の意味になる
4つ目は、単語1語で置ける軽い形です。
ただしこの語には、知らずに使うと誤解される裏の意味があります。
Apologies 単体は my apologies の省略
まず、間投詞としての使い方から確認します。
英語版 Wiktionary の apologies の項は、この語を間投詞(interjection)としても立てています。
その説明は1行だけです。
Ellipsis of my apologies.
Ellipsis は省略のことです。
つまりチャットで打つ「Apologies for the delay.」は「My apologies for the delay.」の頭を落とした形です。
主語も動詞も無いので、文としてはいちばん軽くなります。
会議の apologies は「欠席者の名前」を指す
ここが、この記事でいちばん実害に近い論点です。
Oxford Learner’s Dictionaries は apology の第2語義を、謝罪とはまったく別の意味として立てています。
その語釈は「information that you cannot go to a meeting or must leave early」で、会議に出られない・早く退出しなければならないという連絡のことだと書かれています。
例文には、わざわざ括弧で意味の補足が付いています。
The meeting started with apologies (= the names of people who said they could not go to the meeting).
会議が apologies で始まった、とは「欠席連絡の読み上げから始まった」という意味です。
Wiktionary はこの用法をさらに具体的に書いています。
A list of people unable to attend a meeting, typically presented as the first item on the agenda.
議事次第の1項目目に置かれる欠席者リスト、という説明です。
Cambridge も同じ用法を (MESSAGE) というラベルで立てて、formal と表示しています。
語釈は、会議やパーティに出席できないことを丁寧に伝える連絡、です。
例文は「The vice chair has sent his apologies – he’s abroad at present.」で、副議長が謝ったのではなく、欠席の連絡を入れたという意味になります。
英語の会議に出るなら、この語義は知らないと議事録を読み違えます。
make no apology は「謝らない」と宣言する形
apology を使った形で、意味が反転するものが1つあります。
Oxford は make no apology/apologies for something をイディオムとして立項しています。
その意味は、自分は間違ったことを言ったり行ったりしたとは思っていない、という表明です。
例文は「I make no apologies for bringing this issue to your attention once again.」です。
この件を再度お伝えすることについて、私は謝りません──つまり押し返す形です。
「申し訳ございません」の英語を、あえて書かない場面がある
ここまでは、どう謝るかの話でした。
次は、謝らないという選択です。
これは語感の問題ではなく、英語圏の公式な文章ガイドに条文として書かれています。
Microsoft は「sorry を使う条件」を4つに限定している
条件が数え上げられている点が重要です。
Microsoft が公開している Writing Style Guide の A-Z 語彙集には、sorry という独立した項目があります。
そこでは sorry を使うのは深刻な問題、あるいは利用者が強い不満を感じる問題を知らせるエラーメッセージのときだけ、と限定しています。
その「深刻な問題」として挙げられているのが、次の4つです。
- Data is lost.(データが失われた)
- The customer can’t continue to use the device, service, or application.(使い続けられない)
- The customer must get help from a support representative.(サポートに頼るしかない)
- A product or service fails.(製品やサービスが機能しない)
4つとも「相手に実害が出た」ときだけです。
裏を返せば、実害が出ていない場面で謝るのは、このガイドでは推奨されていません。
自分の非でないことを謝るな、と明記されている
同じ項目には、謝る範囲の線も引かれています。
謝るのは自社製品で起きたことだけにせよ、という趣旨の一文です。
Error messages should apologize only for things that went wrong with the Microsoft product. Don’t apologize for problems that are outside the product, such as a broken link or waiting for a network connection to be found.
リンク切れやネットワークの待ちは自社の外なので謝らない、と具体例まで挙げています。
そして、謝らない場合はどうするかも書かれています。
原文の指示は「be direct about what went wrong」で、何がうまくいかなかったのかを率直に書けという形です。
つまり謝罪を削った分を、事実の明示で埋めます。
謝る文と謝らない文が、同じページに並べてある
この項目の例文は、上下で性格が分かれています。
同じ Microsoft の sorry の項に並んでいる5つの例文を、そのまま表にしました。
| ガイドに載っている文 | 謝っているか | 読み取れる基準 |
|---|---|---|
| We’re sorry, but we detected a problem, and your PC was shut down to protect your files and other data. | 謝っている | 強制シャットダウン=実害 |
| Sorry, the service isn’t available right now. | 謝っている | サービスが使えない=実害 |
| This task couldn’t be completed. Please try again. | 謝っていない | やり直せば済む |
| You’re not connected. Let’s get you back online. | 謝っていない | 接続は製品の外 |
| The page can’t be reached. | 謝っていない | リンク切れは製品の外 |
下3行に共通しているのは、謝罪の代わりに「事実」か「次の行動」を置いていることです。
日本語のメールで反射的に付けてしまう「申し訳ございませんが」は、この基準では多くが削られる側に入ります。
「申し訳ございません」の英語を、場面から引ける表にする
ここまでの4語と「謝らない」を、実際の場面から引けるように並べ直します。
各行の英語は、上で挙げた辞書・ガイドの例文の形をそのまま使っています。
| 場面 | 自分の非 | 選ぶもの | 書く形 |
|---|---|---|---|
| 納品が遅れた | ある | apologize | I sincerely apologize for the delay in delivery. |
| 会議を直前に中止した | ある | apologize | I must apologize for cancelling our meeting at such short notice. |
| 返信が遅れた(社内チャット) | ある | Apologies | Apologies for the late reply. |
| 顧客全体に不便をかけた | ある | apologies(名詞) | Please accept our apologies for the inconvenience. |
| 依頼を断る | ない | regret | I regret to say that we are unable to accept it. |
| 不採用を伝える | ない | regret | We regret to inform you that your application has not been successful. |
| 相手の不調を聞いた | ない | sorry(同情) | I was sorry to hear about your accident. |
| 相手の間違いを指摘する | ない | sorry(断り) | I’m sorry, but I think you’ve made a mistake. |
| 発言が聞き取れなかった | ない | Sorry? | Sorry? What was that again? |
| 会議を欠席する | ない | apologies(欠席連絡) | I’ll send my apologies for Thursday’s meeting. |
| 回線・外部要因の不具合 | ない | 謝らない | You’re not connected. Let’s get you back online. |
この表の「自分の非」の列が「ない」なのに apologize を選んでいたら、そこが直すべき箇所です。
非が無いのに公式に謝ると、責任を引き受けたと読まれます。
逆に、非があるのに regret で済ませると、責任逃れに読まれます。
「申し訳ございません」の英語で、形を間違えやすい3点
語を選べても、形で落ちることがあります。
辞書が ✗ や注記で名指ししているものだけを挙げます。
apologize は人を直接目的語に取れない
いちばん多い形の間違いです。
Longman の apologize の項は、この動詞を [intransitive](自動詞)と表示しています。
そのため謝る相手は to で受けます。
同じ項の文法枠には、やってはいけない形が ✗ 付きで書かれています。
✗ Don’t say: We apologize passengers for the delay.
正しい形は「We apologize to passengers for the delay.」です。
相手には to、内容には for──2つの前置詞が必ず要ります。
apologise と apologize の使い分け
綴りが2つあることは、3社の辞書すべてが表示しています。
表示の仕方が少しずつ違うので、並べておきます。
- Cambridge=
UK usually apologise(英国では通常 apologise) - Oxford=
British English also apologise(英国英語では apologise も) - Longman=
also apologise British English(英国英語では apologise も)
英語版 Wiktionary の apologise の項は、さらに細かい線を引いています。
Non-Oxford British English standard spelling of apologize.
「Oxford 式ではない英国英語の標準綴り」という説明です。
英国英語の中でも -ize を使う流派があるので、apologise が英国で唯一の正解というわけではありません。
では、英国の公式文書はどちらを使うのか。
英国政府の GOV.UK スタイルガイド(A to Z)を全文検索すると、apologise・apologize・sorry・regret のいずれも項目として立っていません(0件)。
ただし「American and UK English」という項目があり、そこに綴りの原則が書かれています。
Use UK English spelling and grammar. For example, use ‘organise’ not ‘organize’, ‘modelling’ not ‘modeling’, and ‘fill in a form’, not ‘fill out a form’.
つまり英国の公的文書で apologise を選ぶ理由は、謝罪の語法ではなく、-ise を採る綴りの方針のほうにあります。
実務上は、相手の会社が使っている綴りに合わせ、1つの文書の中で混ぜないことだけを守れば足ります。
apology の語源は「謝罪」ではなく「弁明」
3つ目は、意味を取り違えやすい語義です。
Oxford は apology の語源欄に、16世紀半ばには告発に対する formal defence(正式な弁護)を指していた、と書いています。
元になったギリシャ語 apologia の意味も「自分を弁護する演説」です。
apologize の語源欄も同じ方向で、16世紀後半には「弁論を張る」の意味だったとあります。
この古い意味は、いまも辞書に残っています。
Cambridge は apology に (EXPLANATION) というラベルの語義を立て、formal と表示して、とくに支持されていない信念や体制についての正式な説明・弁護だと説明しています。
Longman も同じ語義を literary として立て、例に「an apology for Christianity」を挙げています。
書名や論文題目の apology は「謝罪」ではなく「擁護論」なので、そこで謝罪の意味を当てると読み違えます。
「申し訳ございません」の英語|この記事の出典(すべて 2026-09-12 に本文を確認)
この記事で引用した記述は、すべて次のページの本文にあるものです。
- Cambridge Dictionary|sorry(4つの語義ラベルと類語の枠)
- Cambridge Dictionary|apologize(UK usually apologise の表示)
- Cambridge Dictionary|apology(MESSAGE・EXPLANATION の語義)
- Cambridge Dictionary|regret(formal ラベルと regret to announce の例文)
- Oxford Learner’s Dictionaries|sorry(Express Yourself: Apologizing の定型)
- Oxford Learner’s Dictionaries|apologize(例文・コロケーション・語源)
- Oxford Learner’s Dictionaries|apology(会議の欠席連絡の語義・make no apology・語源)
- Oxford Learner’s Dictionaries|regret(formal の第2語義と regret to inform)
- Oxford Learner’s Dictionaries|inconvenience(apologize と regret を1文で併用した例文)
- Longman(LDOCE)|sorry(GRAMMAR 枠の前置詞と ✗ 表示、sorry? の項)
- Longman(LDOCE)|apologize(Register 注記・自動詞表示・✗ 表示)
- Longman(LDOCE)|apology(形容詞コロケーションの一覧)
- Longman(LDOCE)|regret(official letters or statements の注記)
- Longman(LDOCE)|inconvenience(any inconvenience caused の例文)
- Wiktionary|apologise(Non-Oxford British English standard spelling の注記)
- Wiktionary|apologies(議事次第の欠席者リスト・my apologies の省略)
- Microsoft Writing Style Guide|sorry(sorry を使う4条件と、自社の外を謝らない指示)
- GOV.UK style guide|A to Z(American and UK English の綴り方針。apologise・sorry・regret の項目は0件)
辞書のページは改訂されるので、最新の記述は各リンク先で確認してください。
Comments