今回のお話は、たいへんありがたいのですが見送らせてください──これを英語のメールにしようとして、手が止まる。
日本語なら、角を立てずに断る言い回しがいくらでも出てきます。
ところが英語に切り替えた瞬間、手持ちの動詞が refuse しか出てこない、という状態になります。
そして refuse と打ってみて、なんとなく強すぎる気がして指が止まる。
- decline と turn down と refuse は、どれを選べばいいのか
- 日本語のように遠回しに書けば、英語でも角が立たないのか
- Unfortunately を文頭に置けば、それで断ったことになるのか
この記事では、学習英英辞典(Cambridge・Oxford Learner’s・Longman)の項目と、Microsoft および英国政府(GOV.UK)が公開している文章ガイドの記述だけを根拠に、断り方を整理しました。
先に結論を書きます。
- 英語の「断る」に、1語の正解はありません。断る対象が4つに分かれ、辞書がその対象ごとに別の語を割り当てているからです
- ビジネスの中心語は decline です。学習英英辞典3冊が揃って、語義そのものの中に formal と politely を書いています
- refuse は選びません。辞書が語義に「firmly(きっぱりと)」と書き、その語と並べて載せている副詞が flatly・point-blank・adamantly だからです
- 「やんわり断る」は日本語の発想です。英語は「感謝 → 結論 → 理由1つ → 代案」の順に置くことで角を立てません。結論を後ろへ引き延ばすほど、読むほうの負担が増えます
- Unfortunately と I’m afraid は、断りの動詞ではありません。辞書での役割は「悪い知らせを丁寧に切り出す合図」であって、断る動詞は別に必要です
英語で断る前に決めること。ビジネスで断る対象は4つに分かれる
英語で断る文がうまく書けない原因は、語彙の少なさではなく「何を断っているのか」を決めないまま動詞を選んでいることにあります。
日本語の「断る」は、誘いも依頼も見積もりも、すべて1語で引き受けてしまいます。
英語の辞書はそうなっていません。
たとえば Oxford Learner’s Dictionaries の refuse の項では、「相手に頼まれたことをしないと言う」という語義と、「相手が必要としているものを与えない・許可しない」という語義が、番号を分けて別々に立っています。
後者には synonym として deny が置かれています。
つまり同じ refuse でも、「誘いを断る」と「ビザを与えない」は、辞書の中では別の語義として扱われているということです。
そこで、ビジネスで断る場面を4つに分けます。
| 断る対象 | 日本語で起きている場面 | 英語の中心語 | 辞書での位置づけ |
|---|---|---|---|
| ① 誘い・招待 | 会食、イベント、登壇の打診 | decline / turn down | decline の例文が decline an offer/invitation(Oxford) |
| ② 依頼・頼まれごと | 追加作業、無償対応、取材の申し込み | decline to do something / won’t be able to | decline to do something で「〜するのを断る」(Longman) |
| ③ 提案・見積・応募 | 提案書、相見積もり、採用、入札 | go with another / unsuccessful / regret to inform | regret は [+ to infinitive] が formal ラベル(Cambridge) |
| ④ 今は無理だが、将来はある | 予算期ずれ、リソース不足、保留 | revisit / at this time | revisit は Cambridge Business English Dictionary に項目あり |
対象がずれると、英語では一気に強い語になる
この4つを混ぜたまま辞書を引くと、事故が起きます。
「断る」で辞書を引くと refuse も reject も出てきますが、Oxford Learner’s Dictionaries の reject の例文に並んでいるのは、an argument(主張)/a hypothesis(仮説)/a plan(計画)/a claim(請求)/an application(申請)です。
ランチの誘いは1つも入っていません。
reject は「案や申請を却下する」側の語であって、人からの誘いに当てる語ではない、というのが辞書の例文の並びから読み取れることです。
先に「相手に何を返すのか」を1行で決める
英文を書き出す前に、日本語で1行だけ決めます。
- 行かない(①)のか
- やらない(②)のか
- 採らない(③)のか
- 今はやらないが、いつかはある(④)のか
この1行が決まっていれば、あとは辞書が語を決めてくれます。決まっていないから、いちばん強い refuse に手が伸びます。
英語で断る中心語は decline。辞書が語義に formal と politely を書いている
4つのうち①②③のどこでも土台になるのが decline です。
この語がビジネス向きだと言えるのは、印象ではなく、辞書が語義文の中にラベルを書き込んでいるからです。
Longman Dictionary of Contemporary English の decline の第2語義は、見出しが「say no」で、語義そのものが次の1文です。
formal to say no politely when someone invites you somewhere, offers you something, or wants you to do something
Mary declined Jay’s invitation to dinner.
The minister declined to comment about the progress of the peace talks.
注目したいのは、語義の中に formal と politely が両方入っていることです。丁寧さが、文脈ではなく語そのものに割り当てられています。
Oxford Learner’s Dictionaries も同じ立て方で、語義は「(形式ばった語)何かを受けること、あるいは何かをすることを、丁寧に断る」です。
(formal) to refuse politely to accept or to do something
We politely declined her invitation.
Their spokesman declined to comment on the allegations.
Cambridge Dictionary も、decline の動詞の語義を「formal to refuse」とだけ書き、例文に He declined my offer. を置いています。
3冊とも一致して formal のラベルを付けている語は、そう多くありません。decline はビジネス文書で安心して使える、数少ない「断る」の動詞です。
decline のうしろに置ける形は3つだけ
辞書の例文を並べると、decline の後ろに来る形は3種類に収まります。
- decline + 名詞= decline an offer / decline an invitation(Oxford が見出し語の下にこの形をそのまま載せています)
- decline to do something= decline to comment(Longman・Oxford の両方に例文あり)
- 目的語なし= I offered to give them a lift but they declined.(Oxford の例文。前の文で何の話かが決まっているとき)
この3つ以外の形は、辞書の例文には出てきません。decline that… のような節を続ける形は載っていないので、書かないほうが安全です。
decline に添える副詞は politely と respectfully
Oxford Learner’s Dictionaries は、見出し語ごとに「よく一緒に使われる副詞」を Oxford Collocations Dictionary の欄として載せています。
decline の「断る」の語義に付いている副詞は、politely と respectfully の2つだけです。
断る語なのに、隣に並ぶのが「丁寧に」と「敬意をもって」の2語しかない。decline という語の性格が、この一覧に出ています。
そのため We must respectfully decline your proposal. のような書き方が、そのまま辞書どおりの英語になります。
英語の refuse が強く響く理由は、辞書が並べる副詞にある
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
refuse を避けたほうがよい理由は、「なんとなくきつい」という感覚ではなく、辞書に3つの形で書いてあります。
1つめは、語義文の中身です。
Longman の refuse の第1語義は、次のように始まります。
to say firmly that you will not do something that someone has asked you to do
I absolutely refuse to take part in anything illegal.
decline の語義には politely が入っていました。refuse の語義には firmly が入っています。同じ「断る」でも、辞書は最初の1文で別の語を選んでいます。
2つめは、一緒に並ぶ副詞です。
Longman は refuse の項に COLLOCATIONS の欄を置き、stubbornly・adamantly・steadfastly・consistently・flatly・simply・point-blank を挙げています。
Oxford Learner’s Dictionaries 側の一覧も absolutely・utterly・adamantly です。
そして Longman は、point-blank にわざわざ注釈を付けています。
flatly refuse/refuse point-blank (to do something) (= refuse immediately and directly without giving a reason)
「理由を言わずに、その場で直接断る」。辞書が refuse の代表的な使われ方として載せているのが、この形です。ビジネスメールで出したい態度の、ちょうど反対側にあります。
3つめは、refuse がもう1つ抱えている語義です。
Oxford Learner’s Dictionaries の refuse の第2語義は「相手が欲しがっている・必要としているものを、与えない・許可しないと言う」で、synonym に deny が置かれています。
例文は They refused him a visa. や The judge refused her application for bail. です。
refuse は、立場が上の側が下の側に「与えない」と告げる場面の語義を持っています。対等な取引相手に向けて使うと、この気配が乗ります。
ここまでを1枚の表にします。
| 語 | 辞書の語義(要約) | 辞書が並べる副詞 | ビジネスメールで使うか |
|---|---|---|---|
| decline | formal・politely に「ノー」と言う(Longman/Oxford/Cambridge) | politely / respectfully | 使う。①②③の土台 |
| turn down | 申し出・依頼・招待を断る(Cambridge B2/Longman) | (flat は「きっぱり」の意味で付く) | 使える。formal のラベルは無い |
| refuse | firmly に「やらない」と言う/与えない(=deny) | flatly / point-blank / adamantly / stubbornly | ⛔ 選ばない |
| reject | 主張・計画・申請を受け入れない(Oxford) | firmly / flatly / emphatically / out of hand | 案には使えるが強い。③では言い換える |
| pass (on) | やらない・参加しないことを選ぶ(Cambridge 米語) | ― | 会話向き。書面では避ける |
refuse は「英語として間違い」ではありません。辞書が示す使われ方が、ビジネスで出したい温度と合っていない、というだけです。
英語の断りは「感謝→結論→理由1つ→代案」。やんわり回すのは日本語の発想
語が決まっても、並べ方を間違えると角が立ちます。
日本語で断るときに私たちがやっているのは、結論を最後まで引き延ばして、そこに至るまでの間に相手の気持ちをほぐす、という作業です。
この「やんわり」は、結論を遅らせることで成り立っています。英語でそのまま再現すると、読み手は「結局どっちなのか」を探しながら読むことになります。
では英語は、どこで角を落としているのか。
辞書を見ると、それ専用の一句が独立した見出しとして立っています。
Cambridge Dictionary の afraid の項にある I’m afraid… です。
I’m afraid… — used to politely introduce bad news or disagreement
I’m afraid not — used to politely say “no”
語義に introduce と書かれています。つまり英語は、悪い知らせを「引き延ばして隠す」のではなく「これから悪い知らせが来ます、と先に断ってから出す」形を持っているということです。
ここから先は、いま見た辞書のラベルを材料にして、この記事が組み立てた型です。
辞書に「この順番で書きなさい」と書いてあるわけではありません。
| 順番 | やること | 使う語 | 辞書での裏づけ |
|---|---|---|---|
| ① 感謝 | 打診してくれたこと自体に礼を言う | Thank you for… / I appreciate… | I/we appreciate は「感謝を示すときに使う」(Cambridge B2) |
| ② 結論 | 断ると先に言い切る | I’m afraid… + decline / won’t be able to | I’m afraid は「悪い知らせを丁寧に切り出す」(Cambridge) |
| ③ 理由1つ | 短く1つだけ。並べない | Unfortunately, … / at this time | unfortunately は「残念な事実だと示す」語(Cambridge A2) |
| ④ 代案 | 次につながる道を1つ置く | revisit / another time / 別の担当者 | revisit は「改善・変更するつもりで再検討する」(Cambridge Business) |
Unfortunately は断りの動詞ではない
ここで1つ、よくある取り違えがあります。
Unfortunately, … とだけ書いて、断ったつもりになってしまうことです。
Cambridge Dictionary の unfortunately の語義は「何かが悲しい・がっかりするものである、あるいは悪い影響があると言うときに使う」で、レベル表示は A2 です。
Oxford Learner’s Dictionaries の語義も同じ方向で、synonym は regrettably、例文は Unfortunately, I won’t be able to attend the meeting. です。
この例文でも、断っているのは won’t be able to attend のほうであって、unfortunately は「これは残念な話です」という色を付けているだけです。
Oxford は I can’t make it, unfortunately. という文末に置く例も載せているので、位置は文頭でも文末でも構いません。
ただし、断る動詞は必ず別に要ります。Unfortunately だけで文を終えると、相手には「残念そうだ」という空気しか届きません。
please を足して丁寧にしようとしない
断り文を柔らかくしようとして please を足したくなりますが、2つの公式ガイドはどちらも逆の指示を出しています。
Microsoft Writing Style Guide の please の項は、「相手に不便なことを頼むとき」または「こちら側に非があるとき」を除いて please を避けるように書いています。
Avoid please except in situations where the customer is asked to do something inconvenient or the application or site is to blame for the situation.
GOV.UK のスタイルガイド A to Z の please の項は、さらに短く1文です。
There’s usually no need to say ‘please’ or ‘please note’.
断り文の丁寧さは、please を足すことではなく、decline という語を選ぶことと、感謝を先に置くことで作ります。
謝罪語についても1点だけ触れておくと、Microsoft のガイドは sorry を「データが失われたときのような深刻な問題を知らせるエラー文でだけ使う」と限定しています。断りは相手の落ち度でも自社の障害でもないので、重い謝罪語を先頭に積み上げる必要はありません。
going forward は使わない
代案を書くときに出てきやすいのが going forward です。
GOV.UK のスタイルガイドは、平易な英語(plain English)のために避ける語の一覧を持っていて、その中に going/moving forward が入っています。
代わりに from now on または in the future を使うように、と書かれています。
同じ一覧には in order to も入っていて、こちらは「たいてい不要なので使わない」と書かれています。断り文は短いほど誠実に見えるので、この2つは落として構いません。
英語で「誘いを断る」「依頼を断る」ときの断り文の実例
ここから、①と②の実例です。
先ほどの「感謝 → 結論 → 理由1つ → 代案」を、そのまま4文に割り当てています。
| 場面 | 英語の断り文 | 使った語の根拠 |
|---|---|---|
| ① 会食の誘いを断る | Thank you for the kind invitation. I’m afraid I have to decline, as I will be travelling that week. I hope we can find another date soon. | decline = formal / politely(Longman・Oxford) |
| ① 登壇の打診を断る | I appreciate you thinking of me for this. Unfortunately, I have to turn down the speaking slot this time. | turn down = 申し出・依頼・招待を断る(Cambridge B2) |
| ① 短く1行で断る | Thank you, but I’m afraid I’ll have to pass this time. | pass =「やらない・参加しないことを選ぶ」(Cambridge 米語)※会話向き |
| ② 追加の無償対応を断る | Thank you for the update. I’m afraid we won’t be able to take this on within the current scope. | won’t be able to = 断る動詞を使わずに不可能を示す形 |
| ② 取材・コメントを断る | We appreciate your interest, but we must decline to comment at this stage. | decline to comment は Oxford・Longman の両方に例文あり |
| ② 期日を理由に依頼を断る | Thank you for asking. Unfortunately, I am not able to take on additional work before the end of the month. | unfortunately = 残念な事実であることを示す語(Cambridge A2) |
6例とも、断る動詞は1つしか入っていません。断りの語を2つ重ねると、辞書が politely と書いている効果が消えます。
decline to comment は「取材を断る」定型
Longman は decline to comment に、わざわざ丸かっこで説明を足しています。
The minister declined to comment (= refused to speak to people who report the news) about the progress of the peace talks.
報道の取材に答えないことを指す定型句だと、辞書が明示しています。社内のちょっとした質問に使うと大げさになります。
turn down は「相手の申し出」に当てる
Cambridge Dictionary の turn something/someone down の語義は「申し出や依頼を断る」で、例文は He turned down the job because it involved too much travelling. です。
Longman Business Dictionary 側にも同じ見出しがあり、He turned down a job at an investment bank. が載っています。
turn down には formal のラベルが付いていません。decline より日常寄りですが、ビジネスの文書で浮くほどではない、という位置です。
目的語が代名詞のときは turn it down のように間に挟む形になります。
英語で「提案・見積を断る」「今は無理」と伝える断り文の実例
③と④は、①②より一段だけ形式が上がります。
相手が時間とコストをかけて出してきたものを断る場面だからです。
ここで使えるのが regret です。
Cambridge Dictionary の regret の動詞には、うしろに to不定詞が続く形に formal のラベルが付いていて、例文がそのまま企業のアナウンスになっています。
British Airways regret to announce the cancellation of flight BA205 to Madrid.
The council regrets (that) the money to subsidize the youth club is no longer available.
2つとも、主語が個人ではなく組織です。regret to inform は「組織が正式に悪い知らせを伝える」型だ、ということが例文の並びから読み取れます。
だからランチの誘いを断るのに regret to inform を使うと、重すぎます。個人の予定を断る場面では I’m afraid … のほうが辞書の語義に合います。
なお Oxford Learner’s Dictionaries の regret の第1語義は「自分がしたこと、あるいはできなかったことについて申し訳なく思う」で、こちらは「後悔する」の意味です。
I regret it. と書くと「私は後悔している」になり、断りにはなりません。断りに使えるのは regret to do something の形のほうです。
| 場面 | 英語の断り文 | 使った語の根拠 |
|---|---|---|
| ③ 提案を不採用にする | Thank you for the detailed proposal. We regret to inform you that we have decided to go with another supplier on this occasion. | regret + to不定詞 は formal(Cambridge) |
| ③ 見積が予算に合わない | We appreciate the time you put into the quote. Unfortunately, it is outside the budget we have for this project. | appreciate = 感謝を示す(Cambridge B2) |
| ③ 応募・入札の不採用 | I’m afraid your application was unsuccessful on this occasion. We will keep your details on file. | unsuccessful =「望んだ結果が出ていない」(Cambridge B2) |
| ③ 案そのものを見送る | After reviewing it with the team, we have decided not to go ahead with the proposal. | reject を避け、decide not to で言い換えた形 |
| ④ 時期だけがずれている | This is not something we can take on at this time, but we would be glad to revisit it next quarter. | revisit =「改善・変更するつもりで再検討する」(Cambridge Business) |
| ④ 予算期を待ちたい | We are not able to commit to this now. Could we revisit the proposal once the new budget is confirmed? | revisit の例文に The finance minister … revisiting her latest tax proposals(Cambridge Business) |
| ④ カジュアルに先送りする | Can I take a rain check on that? | rain check =「当初より後の時期にする申し出・依頼」(Cambridge 米語) |
③では reject をそのまま書かない
提案を断るとき、いちばん出てきやすいのが We reject your proposal. です。
ただ Oxford Learner’s Dictionaries が reject に並べている副詞は、decisively・emphatically・firmly で、例文には All our suggestions were rejected out of hand. や School officials flatly rejected the proposal. が入っています。
out of hand も flatly も、「検討せずに、その場で」という含みを持つ言い方です。時間をかけて出してもらった提案には合いません。
そこで、断る対象を「提案」から「こちらの決定」へずらします。
- ⛔ We reject your proposal.
- ✅ We have decided not to go ahead with the proposal.
- ✅ We have decided to go with another supplier.
- ✅ Your application was unsuccessful on this occasion.
主語が「相手の案」から「こちらの決定」に移るだけで、同じ内容がずいぶん静かになります。
④は reconsider と revisit を使い分ける
「今は無理だが将来はある」を伝えるとき、reconsider と revisit のどちらを使うか迷います。
Cambridge Dictionary の reconsider の語義は「決定や意見についてもう一度考え、変えたいかどうかを決める」で、レベル表示は C1、例文は He begged her to reconsider but she would not. です。
reconsider は「すでに出した決定を覆すかどうか」を考える語です。相手に Please reconsider. と書くと、決定の撤回を求める文になります。
一方 revisit は、Cambridge Business English Dictionary に項目があり、語義は「改善・変更するつもりで、もう一度その話をする・考える」です。
例文も Revisit your five year career plan at least every six months. と、定期的に見直す文脈で載っています。
断ったうえで扉を開けておきたいなら revisit です。reconsider は、相手に決定を変えてほしいときの語です。
英語で断るときに気をつける語。pass on と rain check は辞書の見出しが別
最後に、断り文でよく見かけるのに、辞書を引くと思っていた語義でない語を2つ挙げます。
1つめが pass on です。
Cambridge Dictionary で pass の動詞(NOT DO)を引くと、語義は「何かをしない・持たない・参加しない・順番を取らないことを選ぶ」で、例文は I think I’ll pass on going to the movies. です。
これは Cambridge の American Dictionary 側に載っている語義です。
ところが同じ Cambridge で pass on を独立した句動詞の見出しとして引くと、そこに立っている語義はまったく別です。
pass on — polite expression for die
It’s important to remember friends and family who have passed on.
pass on は「亡くなる」の婉曲表現としても見出しに立っています。会話では前後で誤解されませんが、書面で単独に置く語ではありません。
ついでに pass something up も引いておくと、語義は「機会を活かしそこねる」で、例文は I can’t believe she passed up the chance to go to South America. です。
断る行為そのものより、「もったいないことをした」という評価の色が入っています。自分の断りを表す語としては向きません。
2つめが rain check です。
Cambridge Dictionary の英英側で rain check を引くと、最初に出てくるのは「売り切れ時に店がくれる、後日その価格で買える紙」と「悪天候で中止になった試合を後日見られる券」の2つで、どちらも物としてのチケットです。
私たちが使いたい語義は、American Dictionary 側の rain check(DELAY IN ACCEPTING)にあります。
an offer or request to do or get something at a later time than was originally intended
I’m busy now, but can I take a rain check on that cup of coffee?
辞書が US のラベルを付け、例文もコーヒーです。社外への正式な文書ではなく、気心の知れた相手への一言に使う語だと分かります。
④の場面で正式に書くなら、rain check ではなく revisit または at this time を選びます。
辞書に載っていない言い回しは、断り文では使わない
断りは、相手が何度も読み返すメールです。
だからこそ、語義が1つに定まる語だけで書きます。辞書に載っていない言い回しを足すほど、読み返されたときに揺れます。
- ①②③の土台は decline(3冊の辞書が formal と politely を語義に書いている)
- 相手の申し出には turn down(formal ラベルは無いが日常から書面まで通る)
- 組織として正式に伝えるなら regret to inform(Cambridge が formal ラベルを付けている形)
- 扉を開けておくなら revisit(Cambridge Business English Dictionary の項目)
- ⛔ refuse は選ばない(語義が firmly、並ぶ副詞が flatly・point-blank・adamantly)
この5つを押さえておけば、ビジネスで断る場面の大半は、辞書どおりの英語で片づきます。
「英語で断る」ビジネス表現を調べた出典一覧(すべて 2026-09-16 に本文を確認)
- Longman Dictionary|decline(formal to say no politely … の語義と decline to comment の注記)
- Oxford Learner’s Dictionaries|decline((formal) to refuse politely … の語義と副詞 politely / respectfully)
- Cambridge Dictionary|decline(formal to refuse の語義と He declined my offer. の例文)
- Longman Dictionary|refuse(to say firmly … の語義、COLLOCATIONS の副詞一覧、point-blank の注記、THESAURUS)
- Oxford Learner’s Dictionaries|refuse(第2語義の synonym deny と They refused him a visa. の例文)
- Cambridge Dictionary|refuse(B1 の語義と Refusing & rejecting の語群)
- Cambridge Dictionary|turn something/someone down(B2 to refuse an offer or request の語義)
- Longman Dictionary|turn down(Longman Business Dictionary 側の He turned down a job at an investment bank.)
- Oxford Learner’s Dictionaries|reject(対象語の一覧と out of hand / flatly の例文)
- Cambridge Dictionary|afraid(I’m afraid… = used to politely introduce bad news or disagreement)
- Cambridge Dictionary|unfortunately(A2 の語義)
- Oxford Learner’s Dictionaries|unfortunately(synonym regrettably と Unfortunately, I won’t be able to attend the meeting.)
- Cambridge Dictionary|regret([+ to infinitive] formal の British Airways regret to announce … の例文)
- Oxford Learner’s Dictionaries|regret(「後悔する」側の第1語義)
- Cambridge Dictionary|appreciate(I/we appreciate… の B2 語義)
- Cambridge Dictionary|unsuccessful(B2 の語義と His application was unsuccessful.)
- Cambridge Dictionary|revisit(SUBJECT の語義と Cambridge Business English Dictionary の項目)
- Cambridge Dictionary|reconsider(C1 の語義)
- Cambridge Dictionary|pass(American Dictionary 側の pass(NOT DO)の語義)
- Cambridge Dictionary|pass on(polite expression for die)
- Cambridge Dictionary|pass something up(to fail to take advantage of an opportunity)
- Cambridge Dictionary|rain check(American Dictionary 側の DELAY IN ACCEPTING の語義)
- Microsoft Writing Style Guide|please(Avoid please except … の記述)
- Microsoft Writing Style Guide|sorry(深刻な問題のエラー文に限る、という記述)
- GOV.UK|A to Z of GOV.UK style(please の項、および plain English で避ける語の一覧の going/moving forward・in order to)
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