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役職は英語で何と書くのか。CEO・Director・Manager・General Manager を辞書の定義と会社の階層で並べ直した

名刺の英語面を作ることになった。日本語面の「部長」を、英語で何と入れればいいのかが分からない。

役職の英語です。

候補はすぐに出てきます。

General Manager、Director、Manager、Head of、Chief、Senior Manager。

ところが、どれを選んでも「本当にこれで伝わるのか」という不安が残ります。

  • 部長は General Manager なのか Director なのか
  • Director と書くと、取締役だと誤解されないのか
  • 「代表取締役社長」は、英語でどう1行に収めるのか

この記事では、英英辞典(Cambridge・Oxford Learner’s Dictionaries・Longman)が各役職名に付けている語義とラベル、および Microsoft と英国政府(GOV.UK)が公開している文章ガイドの記述だけを根拠に、役職の英語を並べ直しました。

先に結論を書きます。

  • 日本の役職と英語の役職名に、1対1の対応はありません。辞書は「階層の何段目か」ではなく「何を管理する人か」で語を定義しているからです
  • Director は、辞書が2つの意味を並べて載せている語です。Cambridge・Oxford・Longman の3つとも、①会社を動かす上級管理職(取締役級)と②ある部門・活動の責任者、を別の語義として立てています
  • Managing Director には UK のラベルが付いています(Cambridge)。Longman は BrE とし、米国側の同義語を chief executive officer としています
  • Vice President には US のラベルが付いています(Cambridge)。語義は「会社の大きな一部門に責任を持つ人」で、日本語の「副社長」より広い語です
  • 大文字にするかは、名前の前後ではなく「特定の役職名か、一般名詞か」で決まります。GOV.UK は「specific job titles は title case、generic job titles は lower case」と明記しています
  • ⛔ 「係長=Section Chief」「代表取締役=Representative Director」は、辞書の見出し語ではありません。Cambridge に section chief・representative director の項目は立っていません(2026-09-17 に確認)。会社が決めた訳語であって、英語として定着した語ではない、という前提で使ってください
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役職の英語に「正解の対応表」が存在しない理由

いちばん大事なところから答えます。

日本の役職と英語の役職名を、左右にきれいに並べた表を見たことがあると思います。

ところが辞書を引くと、そういう対応は一切書かれていません。

辞書が書いているのは「この語は、何を管理する人を指すか」だけです。

英語の役職名は「階層の段数」で定義されていない

Cambridge の manager には、A2 のレベル表示とともに次の語義が付いています。

manager — the person who is responsible for managing an organization

同じ Cambridge の Business English 版では、範囲がもう少し広くなります。

manager — the person who is responsible for managing a company, store, etc., or a department of a company, etc.

ここに「課長」も「部長」も出てきません。

manager が指すのは、会社1社の責任者でもあり、店1軒の責任者でもあり、部門1つの責任者でもあります。段数ではなく、責任の対象で決まる語です。

Cambridge が並べている例も、a bank manager・a station manager・a store manager・the production manager と、規模がばらばらです。

役職の英語は、会社ごとに割り当てが違う

辞書が段数を書いていない以上、段数を決めているのは各社の規程です。

Cambridge の chief operating officer の項に、その実態がそのまま出ている例文があります。

The district used to have a managing director, but several years ago split that job between a chief financial officer and chief operations officer.

ひとつの組織が、managing director という役職をやめて、CFO と COO の2つに割り直した、という例文です。

役職名は、組織が都合で作り替えるものだ、ということが辞書の例文の側から確認できます。

それでも役職の英語を決めなければならないときの考え方

対応表が無いなら、判断の順番を決めるしかありません。

  1. その人は取締役会のメンバーか。ここが最初の分岐です。法的な立場が変わるので、ここだけは推測で書けません
  2. 何を管理しているか。会社全体か、1部門か、1チームか、自分の担当業務か
  3. 渡す相手は英国側か、米国側か。Managing Director と Vice President は、ここで辞書のラベルが分かれます

この3問に答えると、候補は2つか3つまで絞れます。そこから先は、社内で決める話になります。

役職の英語①役員クラス|CEO・COO・CFO・President・Chairman を辞書で並べ直す

まず、いちばん上の層から固めます。

この層は、辞書の語義がはっきりしているので、迷いが少ない場所です。

英語の役職名|役員クラスの対応表

辞書に書いてある語義だけを、そのまま1枚にしました。

英語の役職名辞書の語義(実測)ラベル・略号どの辞書か
chief executive officerthe main person responsible for managing a company or organization, who is sometimes also the company’s president or chairman of the boardabbreviation CEO/UK usually chief executiveCambridge(Business English)
chief operating officerthe person who is responsible for managing the usual activities of a company or organizationabbreviation COO/also chief operations officerCambridge(Business English)
chief financial officerthe most important financial manager in a company or organization, who is the head of the finance departmentabbreviation CFO/also chief finance officerCambridge(Business English)
presidentthe person who has the highest position in an organization or, especially in the US, in a company—(「especially in the US」が語義に内蔵)Cambridge
chairmana person who is in charge of a large company, especially the chairman of the boardalso chair/chairpersonCambridge(Business English)
board of directorsthe group of people who shareholders choose to manage a company or organizationalso boardCambridge(Business English)
executive directoran important manager in a company or organization who is involved in organizing its daily activitiesMANAGEMENTCambridge(Business English)
non-executive directorone of a company’s board of directors who is not one of the company’s managersalso independent director/outside directorCambridge(Business English)
managing directorthe person in charge of a company, who is responsible for what it does and how it is runUK/abbreviation MDCambridge(Business English)
vice presidentthe person who is responsible for a large, important part of a company or organizationUS/abbreviation VPCambridge

この表で先に目を留めてほしいのは、いちばん下の2行です。

managing director に UK、vice president に US。地域ラベルが付いているのは、役員クラスではこの2語だけでした。

CEO と President は、辞書の上では別の役職

日本語では、どちらも「社長」と訳されることがあります。

ところが Cambridge は、CEO の語義の中で president を「兼ねている場合もある」と書いています。

chief executive officer — the main person responsible for managing a company or organization, who is sometimes also the company’s president or chairman of the board

sometimes also、つまり「兼ねることもある」です。

兼ねることもある、と書ける以上、兼ねていない場合が前提として存在します。

同じ項目には、それを裏付ける例文が載っています。

He is giving up the title of president but will remain chairman and chief executive officer.

president の肩書きだけを手放して、chairman と CEO は続ける、という文です。

3つが同じ人に乗ることも、別々に分かれることもある。だから「CEO=社長」と固定して覚えると、こういう文が読めなくなります。

Chairman は「会議の議長」と「会社の会長」の2つを兼ねる語

Cambridge の chairman には、系統の違う語義が2つ立っています。

(MEETINGS)a person, especially a man, who is in charge of a meeting
(WORKPLACE, MANAGEMENT)a person who is in charge of a large company, especially the chairman of the board

Oxford も同じ2本立てで、「the person in charge of a meeting」と「the person in charge of a committee, a company, etc.」を分けています。

Longman も同様で、さらに性別についての注記を付けています。

Many people use chairperson or chair instead, to avoid suggesting that this person must be a man.

Cambridge の chairman の見出しにも、(also chair)(chairperson)が併記されています。

名刺に印刷する語を選ぶなら、Chair か Chairperson のほうが安全です。辞書が「男性に限る語ではない」と補足しなければならない語を、あえて選ぶ理由はありません。

Executive Director と Non-Executive Director の線引き

この2語は、取締役会の中の区別です。

Cambridge の non-executive director は、条件を語義に書き込んでいます。

non-executive director — one of a company’s board of directors who is not one of the company’s managers

取締役会にはいるが、その会社の管理職ではない人です。

同じ見出しに(also independent director)(also outside director)が併記されています。

一方の executive director は「daily activities の組織運営に関わっている重要な管理職」です。

日本語の社外取締役に近いのは non-executive director のほうですが、法制度が違うので「イコール」とは書けません。辞書が書いているのは「管理職ではない取締役」という一点だけです。

英語の役職名で最も誤解が多い Director|辞書は2つの意味を並べている

ここがこの記事の核心です。

Director を1つの意味で覚えている人は、かなり多いと思います。

ところが辞書は、3社そろって2つの語義を並べています。

3つの辞書が、Director に別々の語義を2本立てている

実際に引いた記述を、そのまま並べます。

辞書語義A(会社を動かす側)語義B(部門の責任者)
Oxford Learner’sone of a group of senior managers who run a company(例=a non-executive director)a person who is in charge of a particular activity or department in a company, a college, etc.
Longman(LDOCE)someone who controls or manages a companysomeone who is in charge of a particular activity or organization
Longman(Business)one of the committee of top managers who control a companysomeone who is in charge of a particular department of an organization
Cambridge(Business English)a person in charge of an organization or of a particular part of a company’s business(1つの語義の中に両方が入っている)
Cambridge(米国版・Academic Content)—a person who leads or controls a particular department or activity in an organization

最下段に注目してください。

Cambridge の米国版(Academic Content Dictionary)に載っているのは、語義Bだけでした。語義A(取締役としての director)は、この版では立っていません。

⛔ ただし、Cambridge はこの2つの語義に UK / US のラベルを直接付けているわけではありません。

「どの版の辞書が、どちらの語義を載せているか」に差がある、という事実だけが確認できることです。

ここから「米国では Director は必ず部門長の意味だ」と広げるのは、辞書に書いていないことの補完になります。

Director を名刺に入れると、どちらの意味で読まれるか

語義が2つある以上、単独の Director は両方に読めます。

Cambridge の director の例文には、両方の使われ方が並んでいます。

She served on the hospital’s board of directors.(=取締役会・理事会の側)
director of marketing / communications / finance(=部門の側)

この差を消す方法は1つだけです。

部門名を必ず後ろに付けること。Director of Marketing と書けば、語義Bであることが文字の上で確定します。

逆に、取締役であることを伝えたいなら、Director 単独ではなく Member of the Board of Directors のように書き切るほうが誤読が減ります。

Director の前に付く Assistant・Associate・Deputy の順序

Cambridge の director の項には、修飾語の例がまとめて載っています。

assistant / associate / deputy director

3つとも実在する形ですが、辞書が書いている中身は同じではありません。

  • deputy=「a person whose rank is immediately below that of the head of an organization or a department, and who is in charge when the head is not there」(Cambridge)。不在時に代行することまで語義に入っています
  • associate=「used in some job titles where someone does the job described but does not have all the responsibilities of the main position」(Cambridge Business English)。同じ仕事をするが責任の全部は負わない
  • assistant=「used as part of someone’s job title to show that their job is below the level of a more senior person, and that they help that person to do their job」(Cambridge Business English)。上位者を助けることが中心

代行するのか、責任を絞った同格なのか、補佐なのか。3語は横並びではなく、役割の向きが違います。

役職の英語の英米差|Managing Director と Vice President が分かれ目

地域ラベルが辞書に明記されているのは、この2語です。

ここだけは、推測ではなくラベルで判断できます。

Managing Director は英国側の語。米国側の同義語は CEO

Cambridge の managing director の見出しには、はっきり UK が付いています。

managing director noun [C] UK (abbreviation MD)
the person in charge of a company, who is responsible for what it does and how it is run

Longman も同じ語を BrE とし、米国側の同義語として chief executive officer を挙げています。

さらに Longman Business Dictionary は、職務の中身と兼務の実態まで書いています。

the person in charge of the daily management of a company. The job is often combined with that of CHAIRMAN

Cambridge の例文も、取締役会との関係を示しています。

There’s a board of five directors, but she is the Managing Director.

取締役が5人いて、そのうちの1人が Managing Director。つまり Managing Director は、director のうち会社の運営を実際に回している人、という位置づけです。

相手が米国企業なら CEO、英国企業なら Managing Director。これが、辞書のラベルから言える範囲です。

Vice President は米国側の語で、日本語の「副社長」より広い

Cambridge の vice president には US のラベルが付き、語義が2つ並んでいます。

(US)the person who is responsible for a large, important part of a company or organization
A vice president is also a high-ranking employee in a company, usually one of several, in charge of a particular department

2つ目の語義に usually one of several と書かれています。

ふつうは複数いる、ということです。

例文も、社長の次席ではなく部門の長として使われています。

She’s vice president of sales and marketing.
This is Jeff Walton, our VP of Finance.

日本語の「副社長」は社内に1人か2人ですが、英語の Vice President は部門ごとに何人もいる肩書きです。ここを同じ語で訳すと、組織の大きさが誤って伝わります。

CEO を英国式に書くと Chief Executive になる

Cambridge の chief executive officer の見出しに、短い但し書きがあります。

chief executive officer(UK usually chief executive)(abbreviation CEO)

英国では officer を落として chief executive と書くほうが普通、という記述です。

略号の CEO は、どちらの地域でも通じます。

迷ったら CEO と略号で書くのがいちばん摩擦が少ない、というのが辞書の記述から言える結論です。

役職の英語②部門長と中間管理職|部長・課長をどう書くか

ここがいちばん揺れる層です。

そして、辞書の語義と日本の実務がいちばんずれる層でもあります。

英語の役職名|部門長・中間管理職クラスの対応表

英語の役職名辞書の語義(実測)管理の対象どの辞書か
general managera person who is responsible for the organization of a whole company/(Business)a person who is in charge of all or part of an organization or company会社全体、または一部Cambridge(abbreviation GM)
director(語義B)a person who is in charge of a particular activity or department in a company, a college, etc.部門・活動Oxford Learner’s
headsomeone in charge of or leading an organization, group, etc.組織・グループCambridge(B1)
chief(名詞)the person in charge of a group or organizationグループ・組織Cambridge(B2)
managerthe person who is responsible for managing a company, store, etc., or a department of a company会社/店/部門Cambridge(Business English)
deputya person whose rank is immediately below that of the head of an organization or a department, and who is in charge when the head is not there長の代行Cambridge(Business English)
supervisora person who is in charge of a group of people or an area of work and who makes sure that the work is done correctly and according to the rules人の集まり/業務領域Cambridge(Business English)
team leaderthe person in charge of a teamチームCambridge(Business English)
officera person who has a position of authority in an organization. The word is often used in job titles権限のある立場全般Cambridge(Business English)

1行目に、いちばん引っかかる記述があります。

「部長=General Manager」は、辞書の語義とずれている

Cambridge の一般辞書側の general manager は、こう定義されています。

general manager — a person who is responsible for the organization of a whole company

a whole company、つまり会社まるごとです。

例文も、その規模感で書かれています。

She is the general manager of a small hotel.
He was promoted to become the newspaper’s general manager.

一方、Cambridge の Business English 版では範囲が広がります。

general manager — a person who is in charge of all or part of an organization or company

all or part of、つまり全体でも一部でもよい、となっています。

日本企業の「部長=General Manager」は、この Business English 側の「part of」の読み方に乗っている表現です。間違いではありませんが、一般辞書の語義だけを見た相手には「会社全体の責任者」に見える可能性があります。

誤解を減らしたいなら、General Manager, Sales Division のように所管を必ず添えてください。

Manager は「課長」だけを指す語ではない

manager には A2 という初級のレベル表示が付いています。

語義も、会社・店・部門のどれにも使える広さです。

Cambridge が挙げている例は、a bank manager、a station manager、a store manager、the production manager。

銀行の支店長も、駅長も、店長も、製造責任者も、全部 manager です。

Manager 単独では階層が伝わらないので、Manager, Product Marketing のように担当を付けるのが実務上の解になります。

係長・主任に当たる英語は、辞書に見出しが無い

ここは正直に書きます。

「係長=Section Chief」という訳をよく見ますが、Cambridge に section chief という見出し語は立っていません(2026-09-17 に確認)。

section と chief という2語を並べた合成であって、辞書に載っている定型表現ではない、ということです。

一方、辞書に見出しがあるのは次の2語です。

  • supervisor(C1)= a person who is in charge of a group of people or an area of work and who makes sure that the work is done correctly and according to the rules
  • team leader(Business English)= the person in charge of a team

supervisor の語義には makes sure that the work is done correctly and according to the rules が入っています。

作業が正しく、規則どおりに行われているかを見る立場です。

現場の作業を監督する係長なら supervisor、プロジェクトの小集団をまとめる主任なら team leader。どちらも辞書に語義がある分、Section Chief より読み手の負担が軽くなります。

⛔ ただし、これも「正解」ではありません。社内規程で Section Chief と決まっているなら、それに従うほうが社内の一貫性は保てます。

役職の英語③担当者クラス|Associate・Assistant・Senior・Junior・Lead

管理職ではない層にも、辞書に語義のある肩書きがあります。

ここは日本語に対応する役職名が無いことが多いので、逆に辞書の語義がそのまま使えます。

英語の役職名|担当者クラスの対応表

英語の語辞書の語義(実測)品詞・ラベルどの辞書か
associateused in some job titles where someone does the job described but does not have all the responsibilities of the main position形容詞(before noun)/WORKPLACECambridge(Business English)
assistantused as part of someone’s job title to show that their job is below the level of a more senior person, and that they help that person to do their job形容詞(before noun)/written abbreviation AsstCambridge(Business English)
seniorused to describe someone in a high rank, or in a higher rank in relation to others, in an organization形容詞/B2Cambridge(Business English)
junioran employee of a low rank, or a lower rank in relation to others/someone who has a job at a low level within an organization名詞・形容詞/B2Cambridge
lead(動詞)to control a group of people, a country, or a situation動詞/B2Cambridge
head(名詞)someone in charge of or leading an organization, group, etc.名詞 [C]/B1Cambridge
deputya person who is given the power to act instead of, or to help do the work of, another person名詞 [C]/C1Cambridge
chief(形容詞)most important or main/highest in rank形容詞(before noun)/B2Cambridge

Senior と Junior は「絶対の等級」ではなく「相対の位置」

Cambridge の Business English 版は、senior の語義に条件を2つ並べています。

senior — used to describe someone in a high rank, or in a higher rank in relation to others, in an organization

in relation to others、つまり他人との比較です。

junior 側も同じ構造になっています。

junior — an employee of a low rank, or a lower rank in relation to others

Senior Manager が Manager より上であることは、この語義から言えます。ただし、A社の Senior Manager と B社の Senior Manager が同じ等級かどうかは、辞書からは何も言えません。

Senior には「名前の後ろに付ける Senior」という別の顔がある

Cambridge には、大文字で始まる Senior が独立した見出しで立っています。

Senior(UK abbreviation Snr)(US abbreviation Sr.)— used after a man’s name to refer to the older of two people in the same family who have the same name

同姓同名の親子を区別するための Senior です。

例文も、役職とはまったく関係ありません。

Hello, may I speak to Ken Griffey senior, please?

だから署名に「Taro Yamada, Senior」とだけ書くと、役職ではなく親子の区別として読まれかねません。Senior は必ず職名の前に置いて、Senior Engineer のように使ってください。

Head of は、辞書の head から作られている形

近年よく見る Head of Marketing のような形も、元は普通名詞です。

Cambridge の head(名詞)に B1 で立っている語義がこれです。

head — someone in charge of or leading an organization, group, etc.

組織やグループを率いる人、という広い語義です。

Cambridge が lead に載せているのは動詞の「to control a group of people, a country, or a situation」と、形容詞の lead(before noun)です。

Lead を肩書きとして使うのは、IT業界を中心に広がった用法で、辞書がまだ見出しとして扱っていない段階だと考えられます。社外向けの正式な名刺では Head of … のほうが安全です。

英語の役職名を大文字にするかは、公式スタイルガイドが決めている

ここは辞書ではなく、スタイルガイドの領域です。

そして、英国政府と Microsoft の両方に明文の記述があります。

GOV.UK は「特定の役職名は title case、一般的な役職名は lower case」

英国政府の A to Z スタイルガイドの job titles の項に、次の記述があります。

Specific job titles and ministers’ role titles are title case: Minister for Housing, Home Secretary. Generic job titles and ministers’ role titles are lower case: director, minister.

ここで示されている例が、そのまま判定の基準になります。

  • Minister for Housing=特定の1つの職 → 大文字
  • director、minister=職の種類を指す一般名詞 → 小文字

⛔ よく言われる「名前の前なら大文字、後ろなら小文字」というルールは、GOV.UK の該当項目には書かれていません。

書かれているのは「特定の役職名か、一般名詞か」という線引きだけです。結果として名前の前に置いた役職名は特定の職を指すことが多いので、見かけ上そう見えているだけ、と考えるほうが辻褄が合います。

Microsoft は「人の肩書きは title-style capitalization」と例示している

Microsoft Writing Style Guide の Capitalization のページは、全体としては sentence-style を原則にしています。

Microsoft style uses sentence-style capitalization. That means everything is lowercase except the first word and proper nouns.

ところが、その原則の例外として肩書きが名指しで挙がっています。

Occasionally, title-style capitalization—capitalizing most words—is appropriate. For example, product and service names, the names of blogs, book and song titles, article titles in citations, white paper titles, and titles of people (Vice President or Director of Marketing) require title-style capitalization.

例として挙げられているのが、まさに Vice President と Director of Marketing です。この記事で扱ってきた語が、そのまま公式ガイドの例文になっています。

つまり名刺や署名に入れる肩書きは、Director of Marketing のように各語の頭を大文字にするのが Microsoft 式です。

title-style にするとき、小文字のままにする語

Microsoft は title-style の中の細かい扱いも指定しています。

  • 最初と最後の語は必ず大文字にする
  • a, an, the は、最初の語でないかぎり大文字にしない
  • 4文字以下の前置詞(on, to, in, up, down, of, for など)は、最初か最後の語でないかぎり大文字にしない
  • and, but, or, nor, yet, so も、最初か最後の語でないかぎり大文字にしない

この規則を役職名に当てはめると、of は小文字のままになります。

Director of Marketing(◯)/Director Of Marketing(✕)
Head of Sales and Marketing(◯)

Microsoft のページに出ている Director of Marketing という表記そのものが、of を小文字にした形です。

名刺とメール署名に、英語の役職名をどう並べるか

語を決めたら、次は並べ方です。

⛔ ここから先は、辞書やスタイルガイドに「こう並べよ」と書かれている話ではありません。

ここまでで確認した語義とラベルから、誤読が起きにくい形を組み立てた提案です。

役職の英語は「職名+所管」で1行に収める

この記事で繰り返し出てきた問題は、1語だけでは範囲が確定しないことでした。

Director も Manager も General Manager も、そこは同じです。

だから、所管を必ず添えます。

Director of Marketing
General Manager, Sales Division
Manager, Product Planning
Head of Customer Success

of で続ける形と、カンマで部署名を足す形の2つがあります。どちらも読み手には同じように伝わるので、社内で片方に統一してください。

メール署名は、名前・役職・会社の3行で足りる

署名に肩書きを入れるのは、相手が「誰に返信しているか」を判断するためです。

そのために必要な情報は3つしかありません。

  1. 名前
  2. 役職+所管(=決裁できる範囲が分かる)
  3. 会社名

日本語の名刺に載っている情報を全部英訳すると、かえって読みにくくなります。

相手が知りたいのは「この人はどこまで決められるのか」だけです。所管が書いてあれば、それは伝わります。

英語の役職名を、日本語の肩書きと併記するとき

名刺の裏表で日英を分けるなら、無理に語数を揃える必要はありません。

日本語面は社内規程どおりの肩書き、英語面は相手に伝わる語、で構いません。

同じ面に併記する場合だけ注意が要ります。「部長 / General Manager」と並べると、両方を読める相手には対応関係が主張として見えてしまうからです。

「代表取締役社長」を英語の役職名にどう置き換えるか

この肩書きが、いちばん難しいところです。

先に、辞書に載っていることと、載っていないことを分けます。

Representative Director は、辞書の見出し語ではない

「代表取締役=Representative Director」という訳を、日本企業の英文サイトでよく見ます。

ただし Cambridge に representative director という見出し語は立っていません(2026-09-17 に確認)。

これは「間違いだ」という意味ではありません。

日本の会社法にある地位を、英語圏に同じものが無いために逐語訳した語です。だから辞書に載っていない、という筋の通った説明ができます。

登記や契約書のように、法的な地位を正確に示す必要がある文書では、この逐語訳が使われる理由があります。

名刺に載せるなら、辞書に語義がある語のほうが読まれる

一方、名刺やメール署名の目的は、法的な地位の証明ではありません。

相手に「この人は会社を代表して話せる人だ」と伝われば足ります。

その目的なら、辞書に語義がある語のほうが速く伝わります。

書き方辞書の裏付け向いている場面
President◯ Cambridge「the person who has the highest position in an organization or, especially in the US, in a company」米国側の相手/組織の最上位であることを示したいとき
Chief Executive Officer(CEO)◯ Cambridge「the main person responsible for managing a company or organization」地域を問わず通じる。略号でも可
President & CEO△ 2語はそれぞれ辞書にあるが、この連結形の見出しは無い両方を兼ねていることを1行で示したいとき
Managing Director◯ Cambridge(UK ラベル)「the person in charge of a company」英国側の相手
Representative Director✕ Cambridge に見出し無し(2026-09-17 確認)登記・契約書など法的地位を示す文書

名刺は President か CEO、法務文書は Representative Director。用途で書き分ける、というのが辞書の裏付けから導ける整理です。

⛔ この項目で「正解」を1つに決められない理由

代表取締役という地位は、日本の会社法が定めたものです。

英英辞典は、英語圏の会社で使われている語を記述しています。

制度が違うので、辞書のどの語を持ってきても完全には重なりません。

この記事で言えるのは「辞書にこう書いてある」までです。自社がどれを採用するかは、法務と広報が決める話になります。

役職の英語|日本の役職から候補を引く早見表

ここまでを1枚にします。

⛔ 右の列は「正解」ではなく、辞書に語義がある候補の一覧です。

日本の役職辞書に語義がある候補選ぶときの分かれ目
会長Chairman/Chair/ChairpersonChair・Chairperson は性別を含意しない。辞書が併記している
社長President/CEO/Managing DirectorManaging Director は UK ラベル。米国側なら President か CEO
副社長Vice President(US ラベル)英語の VP は部門ごとに複数いる。人数の印象がずれる
取締役Director/Member of the Board of DirectorsDirector 単独は部門長にも読める。誤読を消すなら後者
社外取締役Non-executive Director/Independent Director/Outside Director3つとも Cambridge が同じ見出しに併記している
執行役員Executive Officer/Executive DirectorExecutive Director は「daily activities に関わる重要な管理職」
本部長・事業部長General Manager/Head of …/Division DirectorGeneral Manager は一般辞書では「会社全体」。所管を必ず添える
部長General Manager/Director of …/Head of …相手が辞書的に読む人なら Head of … がいちばん誤解が少ない
課長Manager/Section ManagerManager は A2 の広い語。担当領域を付けて範囲を示す
係長Supervisor/Team LeaderSection Chief は Cambridge に見出しが無い(2026-09-17 確認)
主任Team Leader/Senior + 職名Senior は相対評価の語。社内の等級とは無関係に読まれる
担当・一般社員Associate + 職名/職名のみ/Junior + 職名Junior は「low rank」と辞書に書かれている。名刺には使いにくい
部長代理・次長Deputy + 職名deputy の語義には「長の不在時に代行する」が含まれる
補佐Assistant + 職名assistant は「上位者を助ける」が語義の中心

この表の使い方は1つです。

左から候補を2つ拾い、右の分かれ目で1つに絞り、最後に所管を付けて1行にする。それで名刺の英語面は完成します。

役職の英語に関するよくある質問

Q. 部長は General Manager と Director のどちらが正しいですか

辞書からは、どちらが正しいとは言えません。

言えるのは2つです。

General Manager は一般辞書では「a whole company」の責任者と書かれており、Business English 版でようやく「all or part of」に広がります。

Director は3つの辞書すべてが「取締役級」と「部門長」の2語義を並べているので、単独では取締役に読まれる余地が残ります。

どちらを選ぶにせよ、所管を添えるのが解決策になります。

Q. 英語の役職名は、名刺に入れる前に社内で統一すべきですか

統一したほうが読み手の負担が減ります。

同じ会社の2人が、同じ階層で Director と General Manager を名乗っていると、相手は組織図を組み立て直せません。

辞書は階層を決めてくれないので、階層を決めるのは社内規程の仕事です。

Q. CEO と Managing Director を両方書いてもいいですか

Longman が Managing Director の米国側の同義語として chief executive officer を挙げています。

同義語を2つ並べることになるので、意味は増えません。

相手の地域に合わせて片方を選ぶほうが、読み手には親切です。

Q. Chairman は使わないほうがよいのですか

使ってはいけない、と書いている辞書はありません。

ただし Cambridge は語義に「especially a man」を入れており、Longman は「Many people use chairperson or chair instead, to avoid suggesting that this person must be a man.」と注記しています。

辞書がわざわざ書き添えている以上、Chair か Chairperson のほうが摩擦は少なくなります。

Q. 役職名は全部大文字にしてもいいですか

Microsoft のスタイルガイドは、強調目的の全大文字を禁じています。

Don’t use all uppercase for emphasis.

デザイン要素として全大文字を使うこと自体は認めていますが、本文では使わないよう書いています。

名刺のデザインとしてならともかく、メール署名や本文では Director of Marketing の形にしてください。

Q. 役職が無い場合、英語の肩書き欄は空でよいですか

空にするより、担当領域を書くほうが伝わります。

Cambridge の associate は「does the job described but does not have all the responsibilities of the main position」と定義されているので、Associate + 職名という形が使えます。

職名だけ(Sales Representative、Software Engineer など)でも問題ありません。

まとめ|役職の英語は、階層ではなく「何を管理するか」で決まる

この記事で確かめたことを、もう一度並べます。

  • 辞書は役職名を階層で定義していません。manager は会社にも店にも部門にも使われ、Cambridge が並べている例は a bank manager から the production manager まで規模がばらばらです
  • Director には語義が2つあります。Oxford・Longman・Cambridge の3つとも、「会社を動かす上級管理職」と「部門・活動の責任者」を区別して載せています
  • 地域ラベルが付いているのは Managing Director(UK)と Vice President(US)。CEO は英国では chief executive と書かれることが多い、と Cambridge が但し書きしています
  • 大文字の判定は「特定の職名か、一般名詞か」。GOV.UK は Minister for Housing を title case、director を lower case としています
  • Microsoft は人の肩書きを title-style の例外として名指ししています。例として挙がっているのが Vice President と Director of Marketing です
  • ⛔ Section Chief と Representative Director は、Cambridge に見出しがありません(2026-09-17 確認)。使ってはいけないという意味ではなく、辞書の裏付けが無い語だと知ったうえで使う、ということです
  • どの語を選んでも、所管を添えれば誤読はほぼ消えます。Director of Marketing、General Manager, Sales Division の形です

最後に、この記事の限界も書いておきます。

ここに書いたのは、英英辞典と公式スタイルガイドに実際に書かれていたことだけです。自社の役職をどの語に割り当てるかは、辞書ではなく社内規程が決めることで、会社ごとに違います。

だから「これが正解」と1つに決める記事にはしませんでした。

役職の英語を調べた出典一覧(すべて 2026-09-17 に本文を確認)


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